※Landmark10-11月号「突撃!私の経営伝」掲載
「拡大読書器」シェア7割
㈱タイムズコーポレーションは、日本システム開発㈱をはじめとするSystem Gearグループを構成する一社。宝塚観光花火大会では15年程前から同グループが花火の打ち上げに携わっている。(オリジナル音楽のビートに合わせて打ち上げられる軽快な花火は、同社が担当してからの演出スタイルである)
日本システム開発㈱はコンピューターおよび電子応用機器メーカーだが、その製品の保守・アフターサービスのさらなる充実と新事業開拓を目的に、1993年に㈱タイムズコーポレーションが設立された。現在は「拡大読書器」をはじめとする、目の見えない・見えにくい人、耳の聞こえない・聞こえにくい人のための支援用具・機器の企画・開発・販売や輸出入に特化して行っており、業界では同社の販売製品がシェア7割を誇る。
「企画商社」として
同社の設立当時に、ある福祉施設の責任者と出会い、スウェーデンから拡大読書器を個人で輸入しようとしているとの話を聞いた。その検査やアフターサービスを行うという話が、いつの間にか輸入販売を含めた全てを同社が行うこととなり、1995年に拡大読書器の輸入販売を開始。初めは運送会社を通して輸送できないほど採算が取れず、トラックを借りて空港に届いた機器を自分達で取りに行き、税関を通したほど。当初の製品は故障も多く販売を中止することとなったが、顧客のニーズもある程度蓄積してきた中で、“ニーズを聞いて商品を企画し、開発や製造はそれらの得意な会社に頼み、出来上がった製品を販売する、あるいは探してきて販売する”という「企画商社」という考え方に切り替え、1997年に初の国産拡大読書器を企画し販売することとなった。その後、OHPで有名なエルモ社と卓上型拡大読書器を、パナソニック社と携帯型拡大読書器を企画開発をし、国内だけでなく海外への販売した。
また、同社はオランダ、ドイツ、韓国、中国、アイルランドなど、8か国、11社から輸入を行っており、輸出先も15か国を数える。年100回程出展しているという展示会では、「拡大読書器」自体の存在を知らない地方の人たちにまで商品を紹介しているが、その際、それぞれ特長の異なる商品の中から顧客が「選べる」品ぞろえを有するのは同社ならではの強みである。さらに、顧客との接点の多さが企画へと反映されていく。
新たな分野への挑戦としては、太陽光発電用の設備の提案も2012年より開始。フランスの水陸両用太陽光発電用フロートシステムを、島根県安来市のメガソーラーに納入した。市内では美座小学校の屋上ソーラーへの採用が決定している。中に砂を入れて置くだけで、大規模な工事を行わなくても風等で飛ばされない台座を作ることができ、今後避難所として防災拠点としての役割がますます期待される学校等へ広めていく。
今後の展望
日本で視覚障害による障害者手帳保有者は約31万人、欧州では約45万人、米国では約60万人いるとされるが、手帳を持っていなくても「見えにくい」人はその5倍はいると言われている。さらに、アジア・アフリカなど途上国は医療が発展していないため、先進国の100倍はいるという説もあり、市場は世界に広がっている。
現在では見えない・見えにくい人でもできるメイク「ブラインドメイク」用の紹介支援や、用具の販売も行うなどしており、グループ会社と共同で開始したネット販売サイトなどを通じて、手帳を持っていない人でも買いやすいような商品の提供に力を入れていく。
グループ全体として抱える課題は、さらなる拡大のためにグループ会社が集積できる場所を探しているが、市内ではなかなか候補地が見つからないことである。先代の創業当初から事業を行ってきた想い入れのある宝塚に残ることを同グループ代表は切望しているが、このままでは大阪等、市外への転出を余儀なくされる可能性もある。宝塚が誇れる会社の1つであり、地域に貢献してきた同グループが、引き続き宝塚を拠点に飛躍することを願うばかりである。
株式会社タイムズコーポレーション
代表取締役社長:山口 成志
所在地:宝塚市高司1-6-11
HPはこちら➡http://www.times.ne.jp/