本年6月20日に「小規模企業振興基本法(以下、小規模基本法)」が成立、同法に基づき、10月3日、「小規模企業振興基本計画(以下、小規模基本計画)」が閣議決定されました。
小規模基本法は、中小企業基本法が成立して以来51年ぶり、経済産業省にとって戦後2本目となる基本法であります。また、小規模基本計画は、小規模基本法に定められた小規模企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため策定されたものです。小規模基本法と小規模基本計画の概要につきましてご説明します。
今後の小規模企業支援の動き
中小企業庁は、小規模基本計画の実現に向け、平成27年度概算要求において小規模事業対策予算を大幅拡充するなど、施策の充実を図っています。特に、商工会議所等の伴走支援を通じた事業計画の策定・実行支援や小規模事業者の販路開拓に対する予算等が拡充されています。
【中小企業庁】小規模事業対策推進事業予算(要求)
平成26年度:19億円
平成27年度:68億円(約3.6倍!!)
※小規模事業対策推進事業の概要
・商工会議所等の伴走型支援を通じ、需要を見据えた事業計画の策定・実施を推進。また、小規模事業者が、経営計画に基づき販路開拓に取り組む費用を支援。
・地域の特色を活かした特産品開発・販路開拓や観光集客などの取組を支援。
小規模基本法とは?
小規模企業は、人口減少、高齢化、海外との競争の激化等、経済の構造的変化に直面しています。他方、日本全国に景気の好循環を浸透させ、地方に強靱で自立的な経済を構築するためには、雇用を支え、新たな需要にきめ細かく対応できる小規模企業の役割が重要です。小規模基本法は、こうした認識の下、小規模企業を中心に据えた新たな施策の体系を構築するために策定されました。ポイントは以下の3点です。
<ポイント1>小規模企業振興についての「基本原則」が定められた
小規模企業の振興についての基本原則として、中小企業基本法における「成長発展」という理念に加えて、地域で雇用を維持するといった「事業の持続的発展」という理念が位置づけられました。
また、個人事業者をはじめとする従業員が5人以下の事業者を「小企業者」とし、その円滑かつ着実な事業運営について配慮する旨が定められました。
<ポイント2>政府が「小規模基本計画」を策定することが定められた
政策の継続性・一貫性を担保する仕組みを作るため、小規模企業施策の体系を示す5年間の小規模基本計画を策定するとともに、小規模企業の動向および小規模企業の振興に関して講じた施策に関する報告を国会に提出することとされました。
<ポイント3>「4つの基本的施策」が定められた
小規模企業の振興に関して国が実施すべき基本的施策として、以下の4つが定められました。
①需要を見据えた経営の促進
②新陳代謝の促進
③地域経済の活性化に資する事業活動の推進
④地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備
小規模基本計画とは?
小規模基本法に基づき、小規模企業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、一貫かつ継続した方針の下、必要な施策を重点的かつ効果的に実行することを担保するために策定されました。小規模基本法における「4つの基本的施策」を目標とし、その実現に向けた「10の重点施策」を実施していくとしています。
目標1)需要を見据えた経営の促進に係る重点施策
(重点施策1) ビジネスプラン等に基づく経営の促進
(重点施策2) 需要開拓に向けた支援
(重点施策3) 新事業展開や高付加価値化の支援
(目標2)新陳代謝の促進に係る重点施策
(重点施策4) 起業・創業支援
(重点施策5) 事業承継・円滑な事業廃止
(重点施策6) 人材の確保・育成
(目標3)地域経済の活性化に資する事業活動の推進に係る重点施策
(重点施策7) 地域経済に波及効果のある事業の推進
(重点施策8) 地域のコミュニティを支える事業の推進
(目標4)地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備に係る重点施策
(重点施策9) 支援体制の整備
(重点施策10) 手続きの簡素化・施策情報の提供
とりわけ、「(重点施策9)支援体制の整備」には、「商工会議所等は、自らの強みである伴走型の支援の特色を生かして、小規模企業の目線に立ちつつ、きめ細かい支援を行うことが求められる」と記載されるとともに、「小規模企業振興において支援機関の果たす役割が重要であることから、国、都道府県、市区町村は、商工会議所等支援機関の機能を十分に引き出せるよう、それぞれ配慮する」とされております。
-出典- 中小企業庁資料を加工